ヒトのカラダにおいて、食品中の『酸化型ビタミンC』の効力は、『還元型ビタミンC』の効力と『同等』とのことでした。
この見解が載っていた資料の場所を紹介します。
文科省のサイトの中にありました。
場所は『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』の第1章です。
この資料は、食品に含まれるビタミンCの酸化が気になる方におすすめです。
酸化して酸化型になったビタミンCも、効力は『同等』であるとの見解が載っていました。
つまり、食品として食べる分には、同じものと考えていい。
自分は、そのように理解しました。
酸化型ビタミンCの効力が還元型ビタミンCと同じという根拠
『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』の第1章のPDFに、以下の記載がありました。
食品中のビタミンCは、 L -アスコルビン酸(還元型)と L -デヒドロアスコルビン酸(酸化型)として存在する。その効力値については、科学技術庁資源調査会からの問合せに対する日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会の見解(昭和51年2月)に基づき同等とみなされるので、成分値は両者の合計で示した。
出典:文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂) ⇒ 第1章 説明 ⇒ 2 日本食品標準成分表2015年版(七訂)⇒ 2) 収載成分項目等 ⇒ (9) ビタミン(Vitamin) ⇒ ⑬ ビタミンC(Ascorbic acid)
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酸化型ビタミンCと還元型ビタミンCの効力が『同等』である旨が書かれています。
もちろん、『食品として食べたとき』に、2つのビタミンCの効力がほぼ同じ、ということだと思います。
肌につけるとか、食べる以外の方法もありえますが、今回そこまでは調べていません。
あとは、効力をどうやって測ったのか?もしくは推定したのか?も気になりましたが、今回は調べていません。
ビタミンCの量は『還元型』と『酸化型』の合計値だった
2つのビタミンCの効力が『同等』だから、食品中のビタミンCの量を表示するときは、2つの合計値を使うようにしたんですね。
『ビタミンCの量』とは、『還元型ビタミンC』と『酸化型ビタミンC』の合計である。
文科省の中の説明を見て、自分もそのように考えておくことにしました。
以上です
以下は、ジュースに入れた『ビタミンC』の変化を調べた論文の紹介です。
ビタミンCの減りやすさを調べた実験レポートがあった
ビタミンCの減りやすさを調べた『実験レポート』がありましたので、紹介します。
J-STAGE(ジェイステージ)の論文ページへのリンクです。
PDFで全文を読むことができました。
自分の知りたかったところが、実験で示されていました。ありがとうございます。
- 野菜ジュースに入れたビタミンCはどんなペースで減っていくのか?
- 温度は関係あるのか?
- 野菜の種類は関係あるのか?
- 砂糖を入れたら減る?
- レモン汁を加えたら減る?
- 牛乳を入れたら減る?
- 無添加ならどうなの?
- ビタミンCを水に溶かしただけならどうか?
実験結果の表を見るだけでも面白かったです。
『水に溶かしたビタミンC』と『ジュースに混ぜたビタミンC』の変化
論文中のビタミンCの実験では、還元型ビタミンC(アスコルビックアシッド、ascorbic acid、略してAsA)と、酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビックアシッド、dehydroascorbic acid、略してDAsA)の2種類について、『水に溶かした時』と『ジュースに混ぜた時』の減りやすさを調べていました。
実験結果をいくつか紹介します。
ビタミンCの総量は『+5℃』よりも『+90℃』のほうが減りやすかった
文科省の資料によると、ビタミンCの総量とは、還元型と酸化型の合計値とのことでした。
実験では、ビタミンCを水に溶かして5時間経過したときに、温度が高いほうが大きく減ったという結果が出ていました。
なお、論文中には書かれてはいませんでしたが、ビタミンCの変化はだいたい以下のように進むようでした。
還元型ビタミンC ⇒ 酸化型ビタミンC ⇒ 別の物質
おそらくですが、『ビタミンCが失われた』というのは、酸化型ビタミンCがさらに別の物質に変化した時のことを言うのでしょう。
還元型ビタミンCから直接別の物質に変わる変化もありそうですが、そこまでは調べていません。
酸化型ビタミンCは『pH 4』から『pH 7』に近づくほど減りやすかった
ピーエイチ(pH)を変えた溶液にビタミンCを入れて、+25℃で5時間待った実験です。
クエン酸リン酸塩緩衝液で作った『pH 4、pH 5、pH 6、pH 6.5、pH 7』の5種類の溶液で、ビタミンCの減り方を見た実験です。
酸化型ビタミンCだけが、『pH 7』に近いものほど大きく減ったという結果が出ていました。
一方で、還元型ビタミンCの減りやすさについては、pHはあまり影響しないという結果になっていました。
『にんじんジュース』に入れた還元型ビタミンCは『トマトジュース』に入れた場合よりも酸化されやすかった
いろいろな野菜ジュースに還元型ビタミンCを入れて、+25℃で5時間待つ実験も載っていました。
トマト、セロリ、ピーマン、キャベツ、ほうれん草、イチゴ、ニンジン、パセリ、レタスで実験していました。
結果を見たところ、還元型ビタミンCが酸化されて酸化型ビタミンCに変わる速さは、ジュースによって大きく異なっていました。
たとえば、ニンジンジュースに入れた還元型ビタミンCは、トマトジュースに入れた場合よりも大きく減っていました。
しかし、ニンジンジュースよりもすごい野菜がいました。
『レタスジュース』に入れた還元型ビタミンCは『直ちに』酸化された
面白いのがレタスでした。
レタスジュースに入れた還元型ビタミンCは、直ちに酸化されて、ほぼすべてが酸化型ビタミンCに変わっていました。
実験は、還元型ビタミンCが0%で、酸化型ビタミンCが100%の状態から始まっていました。
しかし、酸化型ビタミンCに変わったあとの変化はゆっくりで、5時間たっても、酸化型ビタミンCは開始時の79%残っていました。
つまり、ビタミンCの総量としては、急にゼロになったりはしなかったんですね。
なお、79%というのは、4回繰り返し分析した結果の平均値とのことでした。
実験結果はすべてPDFに載っていましたので、おすすめです。
そして、論文のPDFはまだ続いています。
ここからさらに、野菜ジュースを加熱したり、砂糖とかレモン汁とか牛乳を野菜ジュースに混ぜたりして、ビタミンCの変化を記録していました。