自分の場合は、結局、自前でタグ名と勘定科目の対応リストを作って、ほかの企業と比較できる状態に持っていきました。
ところで、計算リンク (calculationLink) と表示リンク (presentationLink) には、勘定科目と財務諸表を関連付けるのに役立つ情報が載っていました。
それらの情報を活用すれば、勘定科目の集約を自動化できるような気がしました。
それで、実際に計算リンクを使ってみたら、ある程度までは自動化することができました。
(やったぜ…!)
具体的には、1社の中であれば、過去の XBRL から各勘定科目の時系列を、ほぼ自動でグラフ化することができました。
実験レベルでしたが、良かったです。XBRL のさらなる可能性を感じました。
ですが、他社との比較まではできなかったです。全然できなかったというわけではないのですが、計算リンクだけでは無理そうでした。
たとえば、売上高のタグ名は NetSales でしたが、NetSales じゃない企業もたくさんあったんですよね。
大企業とか建設業とか銀行業では、別の勘定科目を使用している場合がありました。
そういった、業種・業態の異なる企業の数値を見比べたいと思った時です。
そのときです。やっぱりそこで、勘定科目の集約リストが必要になりました。
あと、1社の中であっても、勘定科目のタグ名が途中から変わっていたことがありました。
企業の中で金額の意味合いが変わって変更になったケースもあれば、単純にタグ名のスペルミスで変わったと思われるケースもありました。
計算リンクの情報をもってしても、他社との比較は難しかったし、1社の中でも完全な時系列を作ることは難しかったです。
話をもどして、計算リンクです。
非常に有用ではありましたが、それをもってしても、実際に比較や時系列の作成で活用するにあたって、不完全な部分が残りました。
なので、今のところは、計算リンクや表示リンクの情報を使わない方法をとっています。
代表的な科目だけに注目して、自前の勘定科目集約リストでグラフを作っています。
メンテナンスの手間はありましたが、決算書のサマリ (summary) で使われているような科目は、だいたい網羅することができました。
最近は、ほとんどのケースでうまく金額を拾えるようになったので、タグを追加する機会も減って、ようやくこれで良いかな?と思えるレベルに達しました。
株式投資にあたって、ざっくりとスクリーニングするくらいなら、十分役に立っています。
あと、読み込むファイルが XBRL 報告書インスタンスのファイル (.xbrl) だけで済んだので、処理も高速でした。
計算リンク (.cal) を読み込もうとすると、ウェブ上から共通のタクソノミファイルを取得する必要があって、その取得に時間がかかったんですよね。
あと、1度取得したファイルをローカルに保存して、キャッシュとして活用するコードを書く手間もありました。
仕組みは単純で、ローカルに無ければウェブから取得する、というだけのものです。
ですが、実際に作ってみたらファイルパスの変換とか、こまごまとしたところが大変でした。
あと、キャッシュ機構は、マルチプロセス処理を実装するうえでも、少しお邪魔になりました。
そういうわけで、今のところは『計算リンク』と『表示リンク』を使わずに XBRL を活用しています。
メンテナンスフリーを目指して、計算リンクなどを活用した『勘定科目の自動集約』と『時系列作成の自動化』を進めてきましたが、とりあえず保留にしました。
XBRL 自体にも、他社との比較を可能にする機能は無いようでしたし。
(仕様書をいくつか見てきましたが、自分が知る限りでは見かけませんでした。)
まあ、そんな機能は追加しないほうがいいと思います。他社のことまで考えて XBRL の決算書を作るなんて、想像ですが、企業の実務的にも無理があると思いますし。
なるべく標準のタクソノミを活用できるように、XBRL の説明や具体例を充実させるなどして、分かりやすさを改善していくのがいいのかと、そう思っています。
そして実際に、金融庁の XBRL の資料は、年々分かりやすくなっていて、とても良いと思いました。