上場企業の株価が0円にならない理由を調べた時の話です。
結論ですが、『証券取引所のルールで、0円の注文ができないようになっていたから』でした。
0円の注文ができないから、株が市場で売買できる間は(証券口座で売買できる間は)、株価は0円にならない(株価は0円よりも大きくなる)のだと、理解しました。
自分が見た資料と、結論に至った過程を紹介します。
東京証券取引所の規則を見たら、『1円未満の値段による呼値(呼び値)』に、制限がありました。
(株券の呼値の制限)
第4条の2
取引参加者は、株券について、1円未満の値段による呼値を行ってはならない。
追加〔平成26年7月22日〕
日本取引所グループ | 諸規則内規 > 業務規程関係 > 呼値に関する規則(東京証券取引所)>(株券の呼値の制限)第4条の3(2020年6月21日閲覧)
そして、『呼値』とは、売買注文の内容を表示することでした。
用語集
呼値(よびね)
取引参加者が取引所の市場において売買を行おうとする際に、その売買注文の内容、例えば、売りか買いかの別、値段等を表示することをいいます。
つまり、株価が1円未満になってしまうような売買は、出来ないのだと、理解しました。
それで、株式が上場している間は、株価は0円にならない、と結論したわけです。
ところで、TOPIX100 の構成銘柄は、0.1 円刻みで注文できるとのことでした。
例えば、みずほFG (8411) の株価は、小数まで表示されていました。
たとえば、1株あたり 135.6 円でした(2020年6月19日の終値)。
理論上は、株価が下がり続けたら1株 0.1 円という価格もありそうです。
売買単位が 100 株だったので、売買単位当たりの価格は 10 円になります。
そして、たとえ 10 円だったとしても、TOPIX100 の構成銘柄について、『呼値の単位』を定めた規程は、適用されそうでした。
呼値の単位について、日本取引所グループの規程を読みました。
b TOPIX100(当取引所の上場株券のうち市場第一部銘柄の中から当取引所が選定した100銘柄を対象とする時価総額方式の株価指数であって、当取引所が算出するものをいう。)を構成する株券(発行日決済取引に係るもの及び売買単位当たりの価格が円位未満の端数を含む価格となるものを除く。)
日本取引所グループ | 第3節 呼値及び売買単位等 > 第14条(呼値)> 第3項 > 第1号(2020年6月21日閲覧)
10 円というのは、『円位未満の端数を含む価格』ではないので、もしかしたら売買は可能なんじゃないかと、想像したわけです。
もし、1株あたり 0.1 円で売買できるとしたら、それが、到達可能な最低株価なのかもしれません。
けれども、1株当たり0円というのは、やはり無さそうです。
株は、株式市場で売買できるうちは、常に、0円よりも大きいプラスの株価が付くのだと、自分は理解しました。
以上は、証券会社を通じて『東京証券取引所』で取引した場合の考察です。
実際は、『地方市場』や『PTS(Proprietary Trading System、私設取引システム)市場』でも、株式を取引することが可能でした。
しかしながら、そういった市場での売買についても、株価が0円になる可能性は無さそうでした。
呼値の刻み幅は東証よりも小さかったですが、それ以外の規程は、だいたい東証の規程に準じたものになっていました。
なので、証券口座で売買できるうちは、株価は0円にはならないだろうと、理解しました。