HDDを2台使用して、RAID0にしたディスクは、1台のときよりも高速で大容量で、とても便利でした。
そして、1年や2年で『すぐに壊れてしまった』といったことも無くて、実用的に使うことができました、というお話です。
結論は、『はやく使えばよかった』です。
RAID0の信頼性が心配だったけど使ってみたら大丈夫だった
自分は今まで、HDDをRAID0で使ったことがありませんでした。
と言いますのも、RAID0で構成したディスクの『信頼性』が心配で、どうしても使う気になれなかったんですよね。
RAID0の速度と大容量は魅力的だったんですけれども。
ですが、あるとき、安くて高速で大容量のディスクが必要になりました。
巨大な仮想メモリを作るとか、巨大な検索用インデックスを作るとか、そういう面白いことを始めたときですね。
そういったときに、SSDのデータを移す場所が必要になりました。
それで試しに、RAID機能が付いた『外付けのHDDケース』を買ってきて、手持ちの2TBを2台使って、RAID0のディスクを作ってみました。
HDDは、2台とも、使い始めて3年くらいたったものでした。
普通のお安いグレードのHDDです。
たぶん、CMR方式のHDDだと思います。
まだSMR方式が話題になる前の時代に購入したものでしたから。
まあ、それらを、ダメもとでRAID0にしてみた感じでしたね。
そうしたら、意外や意外。
RAID0のディスクは、2年たった今でも、バッチリ使えていました。
予想外でした。
自分はてっきり、早々にHDDが壊れたり、RAIDコントローラーが壊れたりして、『ディスクがすぐにダメになってしまうんじゃないか?』って思っていました。
それで、これまでRAID0を避けていました。
なにしろ、『RAID0は壊れやすい』という説明を、いろいろな記事で見てきましたからね。
『RAID1やRAID5』と比べて、RAID0は『信頼性が無い』とか『壊れやすい』とか、そういった感じの説明を何度も見てきました。
直観的にも、たしかにそうなんだろうと思いましたし。
なので自分は、『RAID0なんて、1年くらいで壊れるんじゃないか?』と、勝手に思っていました。
RAID0は、『とても実用的に使えるような代物ではない』と、そう思い込んでいました。
例えるなら、CPUのオーバークロックみたいなものだろうと。
デバイスの性能の限界に迫る競技といいますか、チャレンジに使うようなものなんじゃないかと。
ですが、どうやらそれは、誤った思い込みのようでした。
2台のHDDで作ったRAID0のディスクは、高速で大容量で、しかも、2年を超えて使うことができているという、実用的なディスクでした。
これはいいですね。
RAID0に『信頼性が無い』とか『壊れやすい』とかいうのは、あくまで、『くらべれば』の話だったみたいでした。
HDDを単体で使う場合とか、ほかのRAIDモードと『くらべれば』、RAID0は信頼性が劣るだろう、というだけだったみたいです。
実際に使ってみたら、RAID0はとても良かったです。
少なくとも、『安くて高速で大容量』のメリットを打ち消してしまうほど、『頻繁に壊れて実用的に使えない』といったことは無かったです。
2台のHDDで作ったRAID0のディスクは、実用的に使うことができました。
あとは『冗長性』ですね。
たしかに、RAID0には『RAID1やRAID5』のような、『HDDが1台ずつ故障していく分には、使いながら復旧することができる』みたいなことは無いようでした。
単体のHDDと同じように、『壊れたら止まる』ようです。
それでも、2台のHDDでのRAID0は、普通の単体のHDDと同じ感覚で使えましたし、高速で大容量で、とても便利でした。
もっと早く使っていればよかったです。
RAID0は高速だった
CrystalDiskMark で速度をはかってみたところ、2台のHDDで作ったRAID0のディスクは、シーケンシャルアクセスでの読み書き速度が『2倍』くらいになっていました。
自分のHDDはどちらも、単体で使っていたときは、100MB/sくらいだったんですよね。
それが、RAID0にしたことで、200MB/sを超える速度が出るようになりました。
これは快適でしたね。
以下の画像が、CrystalDiskMark で速度をはかったときの結果です。
実際に、ファイルサイズが100MBとか1GBとかの『大きなファイルたち』をコピーしてみたら、同じくらいの速度が出ていました。
『SSDからRAID0』に書き込んだときでも200MB/sくらい出ていましたし、『RAID0からSSD』に書き込んだときでも、同様に、200MB/sくらい出ていました。
もちろん、有価証券報告書や決算短信のPDFとか、XBRLのZIPファイルとか、そういった『細かいファイルたち』だと、『SSDからRAID0』へのコピー速度が(書き込み速度が)60MB/sくらいに落ちていました。
ですが、圧縮ソフトの7-Zipを使用して、ZIP圧縮(圧縮レベル:標準、CPUスレッド数:6)をしながらRAID0に書き込んでみたら、150MB/sくらいで書き込むことができました。
さらに、圧縮レベルを『最速』にしてみたら、大きなファイルのときと同じ200MB/sくらいで書き込むことができました。
とても快適でした。
7-Zipの公式サイトです。
RAID0の使い道
自分のRAID0の使い道です。
RAID0で作ったディスクは、たとえば Python で自作したプログラムで使用しています。
『上場企業の決算分析システム』とか、『日本語用の全文検索システム』とかで、たくさんのグラフ画像とか、CSVファイルとか、SQLite データベースファイルを保存するときですね。
そういったときに、使用しています。
大活躍です。
やればできる!XBRLで決算分析システムを作るにあたって難しかったところ妥協したところ
【Python】SQLite で日本語を全文検索するコード例【N-Gram, FTS4/FTS5】
あと、普段の作業で、『こまめにファイルをバックアップするときの保存先』として、たくさん使用しています。
こまごまとしたファイルたちでも、7-ZipでZIP圧縮しながら書き込んだら、『大きなファイルのときと同じような速度』が出たんですよね。
RAID0のディスクは、『安くて高速で大容量』で、気軽にどんどん保存することができました。
RAID0から別のSSDにバックアップを取る作業も、高速化することができました。
とても便利になりました。
今までは、『単体のSSD』と『単体のHDD』で頑張っていたんですけれどもね。
SSDは、容量が小さくて手狭なので、たくさん使うときは、いちいちHDDにデータを移してから使っています。
ですが、単体のHDDだと、せいぜい100MB/sくらいしか出なかったので、SSDからの読み込み速度(500MB/s)を生かすことができず、『もったいないなぁ』って思っていました。
それが、RAID0にしたことで、200MB/sくらい出るようになったのです。
たとえば、『SSDを100GB空けたい!』とか思ったときの待ち時間が、単純に半分になりました。
めちゃめちゃ良かったです。
RAID0のやり方
自分のRAID0のやり方ですが、『外付けのHDDケース』を使用しました。
ラトックシステムのRAID機能を搭載した『RS-EC32-U3R』に、HDDを2台入れて、RAID0にしました。
自分がお店で購入したときの価格は、税込みで9000円くらいでした。
この値段で、手持ちのHDDが『4TBで200MB/sの性能』になったのは、とても良かったです。
ラトックシステムの製品紹介ページです。
USB3.0/2.0 RAIDケース(HDD2台用)
(RATOC) RS-EC32-U3R/RS-EC32-U3RWS(出荷完了)
(RATOC) RS-EC32-U3RX/RS-EC32-U3RWSX(後継機種)
ところで、選択肢としては、『マザーボードのRAID機能』を使うとか、『Windows 10 のRAID機能』を使うといった方法もありました。
ですが、自分は『外付けのHDDケース』を選びました。
HDDを使わないときに、電源を完全に切りたかったからです。
HDDを内蔵してたら、なぜか時々、全部のHDDがいちいち起動したんですよね。
しかも、HDDは1台ずつ起動していったので、台数が多いほど待たされました。
2台のときは、全部のスピンアップが完了するまで、10秒とか待たされていました。
それが、『外付けのHDDケース』にして、普段は電源を切っておくことで、解決しました。
その流れですね。
ほかにも、『HDDの交換』や、『データを保持したまま、RAID0のディスクを別のPCにつなぐ』といったことが、簡単にできたところもよかったです。
USBをつなぎかえたら、別のPCで、そのまま使うことができました。
HDDをPCに内蔵してしまうと、付けたり外したりが大変でしたからね。
『外付けのHDDケース』でRAID0のディスクを作ったのは、正解でした。
まあ、HDDのRAID0は良かったですが、多少のデメリットもありました。
HDDの音です。
HDDを2台使用したRAID0は、無音のSSDと比べれば、回転音とか振動音が気になりました。
あと、HDDケースに付いていたファンの音も、少し気になりました。
HDDの音とファンの音がまざって、『サー…』のような『コォォ…』のような音でした。
その部屋で寝たり、作業したりはできていますが、ふとしたときに、ちょっと気になっています。
まあでも、自分の場合は、多少の騒音のデメリットよりも、『安くて高速で大容量』のメリットのほうが、圧倒的に勝っていました。
HDDを2台使ったRAID0は、とても良かったです。